薩摩切子ができるまで
HOW SATSUMA KIRIKO IS MADE

Satsuma Kiriko Cut Glass(動画/約2分)

熱を操り、
魂を吹き込む

カットガラスの工房で生地作りから一貫体制で生産している工房は多くはないですが、
島津薩摩切子では、生地作りからカットや磨きといった加工工程まで一貫して生産しています。
このことにより、色や形状をトータルで研究し、製品化することができるのです。
島津薩摩切子の生地作りは、金型を使った「型吹き」が中心ですが、商品によっては「宙吹き」でも製作します。
カットして美しく仕上がるための生地作りを行わなければならず、色味、厚み、形状など様々な要因をクリアする必要があります。

Mixing to Melting 調合〜熔融

ガラスの主な原料は硝石、酸化鉛、炭酸カリです。調合師がした原料を専用のブレンダーで混ぜ、溶かすための原料(パッチ)を準備します。
色ガラスはこの段階でパッチに着色剤となる金属を混ぜ込んでおきます。
パッチとカレット(砕かれたガラス)を数回に分けて窯へと投入します。最大1500℃の熱で一晩かけ溶かしていきます。

Gathering - Overlay たね巻き〜色被せ

異なる吹きガラスの職人が、透明ガラスと色ガラスをステンレス製の竿にそれぞれ巻き取ります(たね巻き)。
色ガラスを先に金型へと吹き込み、椀状になった中に別の竿で巻き取った透明ガラスを流し込むことで、色ガラスが透明ガラスに熔着された「色被せガラス」が出来ます(色被せ)。

Moulding 成 形

色被せしたガラス生地を加熱炉に入れてなじませ、型に吹き込む型吹きや宙空で吹く宙吹き技法によって薩摩切子の生地を成形していきます。
出来上がった生地は徐冷炉に入れ、約16時間かけてゆっくりと冷やしていきます。
翌朝徐冷炉から取り出された生地は検査を受け、次の工程へと運ばれて行きます。

Moulding 成 形

猪口の口仕上げ

匠の飲み口へのこだわり、抜群の口当たりの良さを体感してください。
猪口の縁の部分は、成形の過程で再度炉で熱して、溶かし、仕上げます。
縁の内面の丸みは自然に作り出されたもので、唇に優しくフィットする快感は、どんなお酒も美酒に変えてしまいます。

“色ガラスの厚み”

薩摩切子は透明ガラスの上に色ガラスを厚く被せて作られています。
薩摩切子ならでは重厚感と“ぼかし”を表現するためです。
器に被せる色は1~5mm、色の濃淡が生まれる絶妙な濃さを研究し、大小それぞれの器に合わせて吹き分けています。
長年の経験と勘がものをいう、匠だからこそできる技です。

色が息吹き、光をまとう

薩摩切子は厚いガラスを彫る深さによって生じる、色のグラデーションが特徴です。
一見すると一般的なカットガラスも同じような作業に見えますが、厚いガラスならではの難しさがあります。
まず、ガラス生地が厚く、製品の種類によって同じ文様でも削る深さの加減が違う為、ガラス生地の厚さの重なりを見極めてデザインを形にする正確さが求められます。
そして彫る深さを誤ると、カットの太さや色の残りが変わります。
また工具との接地面が少しでも傾くと、左右の色の残り方が変わってしまいます。
ひとつの商品を仕上げるためには、一般的なカットガラスよりも何倍もの時間を要します。
一度彫ったら元に戻せないので、集中力を要する作業の連続です。

Marking to Cutting 当たり〜カット

デザインに合わせた分割線を引き、当たり(目安となる線)をつけます。
当たりを基にダイヤモンドホイールを高速回転させてカットし、表面の色ガラスを削り取ることで文様が浮き上がります(荒ずり)。
細かいカットは、人工・天然の砥石を使うこともあります(石掛け)。効果的なぼかしを生み出すために微妙な線の深さを整えるとともに、カット線の表面を滑らかにして、磨きがかかりやすくします。

Polishing 磨 き

水でペースト状にした磨き粉をつけながら一つ一つ磨いていきます。島津薩摩切子では木盤、ブラシ、バフの三つの道具を用いますが、磨きの内容によってさらに細かく分かれていきます。
道具を順番に使い、丁寧に磨くことで、鏡面に仕上げ、クリスタルガラスの美しさを最大限に引き出します。

Cutting 加 工

“ぼかし”の際

成形の後の絶妙な色被せの素材に加工を施していく時、透明ガラスと色ガラスの間には色が抜けるか抜けないかの際(きわ)があり、その際の加工には全神経を傾けます。
0.1ミリ彫る深さで、色が変わってしまうため、時には息を止めて集中することもあります。
もっとも美しいグラデーションは、このこだわりなくしては生まれません。

段差で魅せる

厚い色ガラスを削り落とすだけでもかなりの時間を要しますが、面に段差を作ることで光を乱反射させ、輝きが増すよう工夫されています。
素材の厚みを活かし、技を駆使して作り出す輝きと重厚感は、独特な高級感を生み出しています。

島津薩摩切子が巣立つ場所

Inspection 検 査

検査には、生地成形後のカット前に行う「生地検査」と、磨き完了後の最終検査となる「製品検査」があります。
厳密にはひとつとして同一のものがない薩摩切子ですが、検査にはいくつもの検査項目があり、修正で前工程に戻されることもあります。
検査に合格したものは、島津家の家紋である丸に十の字とSHIMADZUのサインが入れられて、島津薩摩切子として店頭へ出荷されます。

島津薩摩切子の職人たち